加賀野菜4 金時草
 金時草の和名はスイゼンジナ(水前寺菜)です。キク科サンシチソウ属の多年草で、熱帯アジアが原産です。日本へは18世紀に中国から伝わりました。九州の熊本市で古くから栽培されていたのでこの名がついたとされています。このスイゼンジナが江戸時代に、北国である石川県で栽培されていた記録(農業開志 著者農学者村松標左衛門1775年頃)が残っています。しかし、商品としての栽培が広がり始めたのは昭和初年頃のことで、以来70年間、全国的に目だって栽培されているのは、金沢だけです。その他沖縄県でもわずかに栽培されています。金時草の名前は葉の裏面の色が「金時豆」に似た美しい赤紫色であることから金時色の「金時さつまいも」や「金時豆」と同じように「金時草」と呼ばれるようになりました。
 茎は円柱形でよく分枝し、紫褐色です。葉は長楕円形で先が尖っています。表は緑、裏は紫色で、柔軟・粘液質です。葉と若い茎を食用にし、夏場の野菜として独特の風味があり、ゆでるとぬめり(粘り)がでます。生育適温は20〜25℃で、冬季には地上部が枯死する。耐暑性がすこぶる強く、夏季には良く繁茂します。半日日陰で温度差が大きいとキンジソウの色がきれいに出る。土壌の適応性は広いが乾燥には弱い。
 金時草は、金沢市北部の森本の山間部の数集落で、約3ha栽培されているだけです。この地域は、山間部にあるため寒暖の差が大きく、日当たりも良くないので金時草の葉の裏側の金時色の赤紫色が綺麗に出ます。この金時草を平野部の寒暖の差の少ない日当たりの良い場所で栽培してもこの綺麗な赤紫色は出ません。
 実際に栽培の様子を見学するため金沢市北部森本の山間部にある俵原町の尾川さんの畑を訪問しました。

金時草栽培の1年   

作業項目 時期 作業内容
挿し木 9月下旬 5cm地中に埋めます。
穴で寝か 11〜12月 根が出でてきたこの頃に掘り出して春まで近くの掘り穴に根を埋めて並べます。
ハウスへ植え替え 3月中旬 掘り穴に寝かしていた金時草を取り出してハウスの中へ植え替えます。室温は35度くらい、床は25度くらいです。
露地へ植え替え 4月中旬 霜が降りなくなったら、露地の畑へ移し替えます。1m40cmの畝に45cm間隔で植えていきます。そして上からビニールをかぶせます。
ビニール除去 5月中旬 被せてあったビニールを取り、畝に黒マルチンを敷きます。
収穫 5月下旬〜11月 5月下旬〜霜が降るようになる11月まで収穫します。


9月下旬このように畑に挿し木をします。植えられた部分から根が出てきます。 11月になると取り出して春まで掘り穴で寝かせます。
収穫の時期を迎えた金時草。 収穫の時期を迎えた金時草です。表面は緑色をしています。
しかし、裏側はこのように見事な赤紫の金時色をしています。 金沢の市民の台所近江町市場でも2束150円で売っています。