伝統産業1  金沢和傘 彩り鮮やかな
 金沢和傘の特徴は、堅固・優美・豪壮である。傘の中心部に四重の和紙を張ったり、破損しやすい部分を補強するなど他の地方の和傘に比べて丈夫であることが特色である。傘骨の材料は、孟宗竹が使われる。孟宗竹は太くて丈夫な特色を持っている。柄は真竹が使われる。金沢は豪雪地帯であり、かつ多雨地帯でもあるので、竹骨の「そり」が非常に強い。和紙が厚く、油を多く塗るので「そり」を付けないと畳んだときに収まらない。全国的に見ると和傘は専門の和傘職人が作っている例が多いが、金沢では和傘屋が直接問屋に卸さずに販売を行っていたので、あまり売ることができず、提灯も作っていた。現在では金沢で和傘を作っているのは、市内千日町に住む松田弘さんただ一人ある。
 金沢の和傘屋は、江戸時代後期の文政年間に80人いた記録が残っている。明治12年荷は180人いた。戦後も和傘屋は100ほどあり、非常に売れていたが1955年頃以降急激に販売量が減少し、和傘屋は次々と廃業していった。現在では松田さん1人となった。
 松田さんは茶会で使う野立て傘、舞踊に使う舞傘、女の人の使う蛇の目傘、日除けの日傘、料亭で使う番傘、子ども傘など様々な傘を作っている。番傘は現在でも金沢の1流料亭からの注文が多く、店の名前を入れて売っている。一人で作るため、1本作るのに5時間かかり、また提灯も作っているので和傘は年間200〜300しか作れない。

                                    

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